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August 18, 2004

ビハインド・ザ・サン

Behind the Sun (2001/WALTER SALLES)

「セントラル・ステーション」の名匠ウォルター・サレス監督が描く、ブラジルの熱い風を感じる鮮烈なドラマ
ブラジルが誇る美形スター、「ラヴ・アクチュアリー」で注目のロドリゴ・サントロから目を離すな!

10月、新宿武蔵館にてロードショー

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確かに主人公の青年は美形でした。

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奴隷制度の崩壊と産業革命の波に襲われ、没落していく家内制手工業のサトウキビ農家を営む一家。両親と20歳の次男、歳の離れた三男は一家四人でサトウキビの生産から販売まで手分けして行い、厳しい生活に耐えていた。

この一家は、土地の争いで牧畜を営む一族と争っており、長男は相手に殺されていた。父の教えに従い、長男の復讐の為に闘う次男。彼は見事に復讐を果たすが、今度は相手一族から狙われる立場になる。

死の恐怖に怯えながら、父や土地や因習など、封建的な支配に従属している自分の存在に疑問を持ち始める次男。

ある日、近くの街にサーカスがやってきた。父の教えに逆らい、三男と共にサーカスを見に行く長男。彼はサーカス団の少女と恋に落ちる。

共に被支配者として生きる長男と少女は、自由になる術はない。小さな革命を夢見始める長男に、死の影が迫っていた・・・

ハンサムというより美しい、高貴な雰囲気ぷんぷんのロドリゴ・サントロは、いまいち何を考えているのか分からない。悩んだり、考えたりしているよりは、ぼーっとしているように見える。だから彼が封建的な家庭や制度に縛られていたり、それに悩んでもいるなんてのは、嘘だろ!って感じ。一言で言えば、顔が既に非現実的。いま思えば、「ラヴ・アクチュアリー」での美形でお洒落なんだけど奥手で引きこもりがちなデザイナーという役はハマリ役だったのだ。

本というものを家族で唯一手にしてみたり、兄に家出を勧めたりと、アナーキーで破壊的な幼い三男がストーリーテラーなのだが、それは因習に縛られていない彼は“神”か“天使”ということなのだろうけど、こういう家庭でこういう風に育ってしまったことが不思議で仕方ない。兄弟二人とも顔が両親に似ていないのも可笑しいが、教育もなっていないようだ。って、その時点で封建制度も慣習も意味ないじゃん!いや、この作品は飽くまで御伽噺なのだ。だったら、複雑な設定や、それを台詞で説明したりするのは益々混乱させるばかりだし、退屈だ。

ライフルを走りながらぶっ放し、しかも命中させてみたり、見ていて酔うようなぐるぐる廻る映像を挿入してみたり、この監督は基本的にメルヘンな人なのだなあと思った。それならそれで、もっとシンプルな恋愛話でもいいんじゃないかと。

主人公とヒロインとのウルトラC級の逢瀬にはビックリ。そこでは既に父長制も慣習も無意味になっていて、恋愛にこういう力を持たせてしまうところがメルヘンな所以だし、モテるんだろうなあと嫉妬。個人的には、歳の離れた兄弟がヒロインをめぐって対立なんてのを期待したのだが、弟はやっぱり自分から犠牲になったりして、人間臭さの欠片も感じられなかった。そう、この主人公達も作品も人間臭さが感じられないのだ。

主人公の両親とヒロインの継父の3人は、顔の皺からして説得力ありまくり。人間臭さが漂ってくるようで、とっても好感が持てた。3人とも名役者だし、名演技だった。

土地と因習に縛られた青年と、移動しながらも血に拘束された娘のロマンスというプロットは素晴らしい。しかし、メルヘンなのか、リアリティーを求めるのか、ハッキリしていた方が良かったと思う。ラストはあまりにもメルヘンしていて恥ずかしくなってしまったが。


投稿者 井川広太郎 : August 18, 2004 09:51 PM  [ 映画REVIEW]

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投稿者 by: 井川広太郎 at August 22, 2004 11:30 PM